Windows8で記憶域プール機能が追加され、Windowsの標準機能で耐障害性やディスクアクセスの高速化が強化されています。耐障害性機能を使用することでRAIDカード(RAIDコントローラー)なしで、RAIDと類似した耐障害性を実現できるようになっています。
Windows10やWindows Server 2016などでも記憶域プール機能は利用可能です。
ただし、OSが制御するソフトウエアRAIDとなるため、パソコンやサーバーのCPUが使用されます。このため、ソフトウエアRAIDがCPUを使用することで、他のアプロケーションが使用できるCPUが少なくなり、パソコン・サーバー全体の処理速度が低下する可能性がありますのでご注意ください。
記憶域プールは、複数のディスクを仮想化する機能となります。例えば、3本のサイズの異なるハードディスクを1本として「Dドライブにする」などの利用が出来ます。また、途中からディスクの追加も可能となっており、ディスク容量を柔軟に運用できる仕組みとなっています。
仮想化ディスクにすることで以下のような機能が利用可能となります。
仮想ディスクを1本として使用する場合
仮想ディスクを分割して使用する場合
記憶域プールで複数のディスクを仮想化した場合、RAIDと類似した耐障害性ディスクを構築することが出来ます。
「RAID0(ストライピング)」と似た機能で、データの二重化やパリティ(誤り補正)を保持しないため、1本のディスク障害でもデータが失われ、仮想化ディスクにアクセスできなくなります。
物理ディスクが1本でも利用できます。
「RAID1(ミラーリング)」と似た機能で、データを二重化して持ちます。このため、1本のディスク障害でもデータが失われず仮想化ディスクにアクセスできます。
物理ディスクが2本以上で利用できます。
「双方向ミラー」を強化した機能で、データを三重化して持ちます。このため、2本のディスク障害でもデータが失われず仮想化ディスクにアクセスできます。
物理ディスクが5本以上で利用できます。
「RAID5(分散パリティ)」と似た機能で、データの他にパリティ(誤り補正)を持ちます。このため、1本のディスク障害でもデータが失われず仮想化ディスクにアクセスできます。
物理ディスクが3本以上で利用できます。
記憶域プールで物理的な複数のディスクを配置し、データを複数のディスクに分散して保有することで、複数のディスクから同時にデータ読み込みできるためアクセス速度の向上が期待できます。
実際のディスク容量より多くの容量を事前に定義する機能をシン・プロビジョニングと言います。記憶域プールはシン・プロビジョニングに対応しているため、仮想のディスク容量を定義することが出来ます。
将来使用する容量を事前に定義することで、初期構築時に最終構成の設定が可能となります。このことによって、ディスクを使用するシステムの設定変更などは不要となります。
例えば、5年後に100TBの使用が見込まれるが、当面は20TBで十分なため、100TBを仮想化定義を行い、物理ディスクは10TB×2本のみ接続する
初期投資は抑え、実際にディスクが必要になったときに物理ディスクを追加する対応が可能となります。
記憶域プールの耐障害性とRAIDの大きな違いは以下となります。
RAIDはハードウエアRAIDを対象に比較しています。また、RAIDコントローラによって機能が違うため、使用する製品によっては比較が異なる場合があります。
記憶域プール | RAID | |
---|---|---|
ディスク |
容量が違うディスクを使用することができ、全容量が使用可能となる |
容量が違うディスクを使用すると、一番容量の少ないディスクの容量が全ディスクで利用される |
仮想化 |
シンプロビジョニングがサポートされる |
シンプロビジョニングのサポート製品は少ない |
増設 |
記憶域プールは、ディスクの増設は容易 |
RAIDは基本的にRAIDの再構築が必要となる |
コントローラー |
WindowsOSがディスク管理するため、RAIDコントローラーなどのパーツは不要 |
RAIDコントローラーが必要 |
システム負荷 |
WindowsOSがディスク管理するため、パソコン・サーバーのCPUが利用される |
RAIDコントローラー内のCPUが使用されるため、パソコン・サーバーのCPUは利用されない |
環境依存 |
記憶域プールはOSに依存しているため、他のOSでは利用できない |
RAIDは基本的にOSに影響しない |
記憶域プールは「機能が豊富でディスクの取扱も柔軟だが、OS依存でパソコン・サーバーのCPUを使う」、RAIDは「コントローラーが必要で柔軟性が低いが、OSに依存しないで専用CPUを使う」となります。
CPU負荷は、使用するディスク数やアクセス方法によって大きく異なります。
以下はSSD2本を使用し場合の「双方向ミラー」と「RAID1」のCPU使用率比較となります。
(例)双方向ミラーとRAID1のCPU使用比較
実際のCPU負荷やアクセス速度については、以下のページをご確認ください。
記憶域プールを使用したディスクの耐障害性(≒RAID)の作成方法・手順については、以下のページでご確認ください。
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