PLC(Power Line Communications)とは、電力線を利用した通信技術(電力線搬送通信)のことです。PLCを利用することで、自宅のコンセントがLANケーブルの代わりとなり、LANケーブルを敷設しなくてもコンセント(電線)を通じでLAN通信ができるようになります。
屋内はWi-Fiが主な通信手段となっていますが、無線が通じ場所などでLANを実現するためには有効な手段です。
ただし、PLCは制約も多くなっています。現在のLANは1Gbpsが普通となっていますが、PLC通信はLANほどの通信速度は出ません。また、電気のノイズに弱く通信が不安定となることがあります。
PLC通信を行うためには、PLC対応機器を準備(購入)する必要があります。
今回はTP-LINK社の「TL-WPA4220KIT」を使用して確認していますので、使用するPLCアダプタにより若干操作方法は異なります。「TL-WPA4220KIT」は2個組で、一方が無線LAN(Wi-Fi)にも対応している機器です。
今回は2台セットですが、3台以上も接続することが出来ます。(※製品により異なるため、確認が必要です)
PLCアダプタを壁コンセントや延長電源タップのコンセントに差し込み、LANケーブルを接続します。
※延長電源タップなどでも通信はできますが、通信速度や安定性を考えると壁コンセントに直接PLCアダプタを差し込みすることをおすすめします。
接続するPLCアダプタすべて(2台以上)をすべて差し込みます。
すべてのPLCアダプタについているペアリングボタンを押下しPLCアダプタ間の同期合わせを行います。同期が完了するとランプが付きます。
この時、LANケーブルの差し込みをしていなくても問題ありません。
一度ペアリングを行うと、コンセントの差し替えなどを行っても自動でペアリングが行われます。
※使用する機器により若干操作は異なります。
以上で、PLC通信が利用可能となります。
ページTOP今回使用したTP-LINKには、製品専用のアプリ(ダウンロードが必要)があり、このソフトの画面内で通信速度が確認できます。このアプリで通信速度を計測した結果以下の通りとなっています。コンセントにPLCアダプタを差し込み、LANケーブルを接続すると自動で検出してくれます。
接続 | 通信速度 | |
---|---|---|
ブレーカー経由 | タコ足配線した コンセントを使用 |
|
なし | なし | 181Mbps |
なし | あり | 135Mbps |
あり | なし | 170Mbps |
あり | あり | 84Mbps |
上記はノイズフィルターを使用しないで通信速度の測定を行っています。
84Mbps程度出ていれば、インターネットやユーチューブなどはストレスなく利用できます。
ただし、大きなファイルの転送などを行う場合は、時間が掛かります。
今回確認した環境での実測であって、環境で通信速度の大きな違いが発生すると思われます。
社内の複数個所で通信速度を計測しましたが「近いのに遅い」「遠いのに速い」など経路(ルート)上のコンセントで使用している機器に影響を受けるようです。
電気ノイズ(下記の「3.ノイズによる不安定とは?」を参照ください)により通信速度に影響しますので、利用時には実際にコンセントに差して通信速度を測定し、最適なコンセントを探す必要があるように思われます。
ページTOP電化製品は電気ノイズを発生します。電気ノイズがあるとPLC通信の速度低下や通信の安定性に影響が発生することがあります。
電気ノイズを発生する機器のコンセントにノイズフィルタを接続することで、電気ノイズが軽減され、PLC通信の高速化と安定性につながることがあります。ノイズフィルタを使用しないでもPLC通信は可能です。
ノイズフィルタのコンセント(タップ)を購入する必要があります。電気ノイズを発生する機器が使用する壁コンセントに取り付けるため、通常は複数個を準備する必要があります。
サンプルは分岐タップですが、延長コードのタップでもノイズフィルター対応の製品はあります。
ページTOPノイズフィルタは、電気ノイズを発生する機器が使用している壁コンセントに取り付けを行います。
PLCアダプタにはノイズフィルターを取り付けしませんのでご注意ください。試しにPLCアダプタにノイズフィルタを取り付けたところ、通信速度が大幅に低下しました。
ノイズフィルタは電気ノイズを発生する機器が使用している壁コンセントに取り付けします。電位ノイズを発生する機器が使用する壁コンセントすべてに取り付けると、壁内に配線されている電力線の電気ノイズが軽減され、PLC通信が安定します。
すべてべなくても、電気ノイズが高いコンセントのみ対応しても効果はあります。
ノイズフィルターを付けなくてPLCアダプターは利用できます。
ノイズフィルターなしでPLCアダプターを使用し、ノイズが高く通信速度が低い場合や通信が不安定な場合は、後からノイズの高いコンセントにノイズフィルターを付けることもできます。
電気ノイズの測定は専用の機器が必要なため、ノイズが高いコンセントを調べることは難しい作業です。ノイズフィルタを試しで付けてPLC通信の速度や安定性を確認し、のノイズフィルタの効果が高いコンセントを探す必要があります。
PLC通信は、2006年10月に総務省が屋内に限り使用を認めた規格となっており、認めた規格に沿ったと製品は安全に使用できます。
PLCアダプタ製品によっては「総務省指定 第AT-xxxxxx号」などの記載があり、規格に合った製品であることが確認できます。できるだけ「総務省指定」の製品を選ぶことをお勧めいたします。
PLC通信は、思っていたより通信速度も早く、十分実用に耐えられますと考えられます。
Wi-Fiが通りづらい場合や不安定な場合は、PLC通信も有効な手段となります。
「一階と三階」や「母屋と離れ」など距離のある場所をLANで結ぶ場合、LANケーブルを敷設するのは大変な作業となります。PLCアダプタを利用するとLANケーブルの敷設が不要となり簡単にLAN通信が実現できます。
ただし、利用する環境の電気配線や電気ノイズによっては、通信速度が大きく低下する可能性があります。環境に大きく依存する製品(規格)です。
また、PLCアダプターは壁コンセントに直接差し込みすることをおすすめします。壁コンセントの方が通信速度や通信の安定性に効果があります。